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AI in R&D

Explore the building blocks of effective AI projects

Two men viewing a large screen of information

AI building blocks

業界を問わず、多くの研究開発部門のリーダーが、人工知能(AI)を活用して科学研究をどのように変革できるかを模索しています。機械学習(ML)や生成AI(GAI)を含むAIは、さまざまな分野において、多大なコストやリソースを要する研究開発プロセスの効率化と迅速化を実現する可能性があります。

  • 創薬

  • 将来的な動向の探索および競合分析

  • 材料開発

  • 前臨床および臨床研究開発

  • 市販後調査

AIの活用によるビジネス成果は、すでに現れ始めています。先進的な取り組みを進める企業は、その価値をいち早く実感しています。こうしたAI時代の可能性を最大限に引き出すには、高品質なデータに加え、それを活かすための適切なツールとデータ基盤が不可欠です。AI活用の強固な基盤は、次の4つの重要な要素によって構成されます。

  1. 関連性が高く網羅的なデータ

  2. 専門知識を持つ人材

  3. 頑健なデータ構造化と充実したオントロジー

  4. データの管理およびエンリッチメント

これらの構成要素を活用することで、研究開発組織は強固なイノベーション基盤を構築し、AI導入を急ぐあまり生じる可能性のある課題やリスクを回避することができます。

The right data for AI

創薬から材料開発に至るまで、科学研究における複雑で高度な問いに対応するためには、高品質かつ検証済みの学習データが不可欠です。適切なデータ基盤は、AIが導き出す結果に対する信頼性と確実性を高めます。

Sourcing the best quality data

AIモデルには、研究課題に関連する多様なソースからの高品質なデータが必要です。活用されるデータソースには、外部のデータベースやデータセット、オープンソースや公開データベース、公開文献、社内データや独自データなどが含まれます。例えば、化学分野の予測AIモデルには、反応の失敗に関する情報などの社内データだけでなく、公開文献も含む幅広いデータが必要です。不完全なデータに基づいて構築されたモデルは、精度の低い結果を生み出す可能性があり、その欠陥がすぐには明らかにならないまま、誤った判断や大きなコストにつながるリスクがあります。

人間の監視のないAIは重大なリスクを伴い、AI導入を慎重に進めなければ、企業に実質的な損失をもたらす可能性もあります。LLMやGAIモデルは、データの欠落を埋めるために「ハルシネーション」を起こすことが知られています。また、創薬などの分野では、重要な情報を見逃すことによる安全面や健康面でのリスクも懸念されます。

The importance of data provenance

データの再現性は、長年にわたり研究開発における重要な課題の一つとなっています。特にライフサイエンス分野のような規制の厳しい業界では、研究者はAIモデルに活用する高品質なデータセットの出所が明確であることを確認する必要があります。これにより、データの再現性を高めるとともに、エビデンスに基づく意思決定の根拠を追跡・検証できる記録を提供します。

組織はデータセットの出所に関する背景情報を詳細に把握することが求められますopens in new tab/window。責任あるAI活用を推進するための方針や運用ルールを整備するとともに、外部データ提供者から取得したデータや社内データについて、その出所や利用履歴を明確に記録・管理することが重要です。こうした取り組みは、信頼性・検証可能性・再現性を備えた研究成果opens in new tab/windowを生み出すための基盤となります。

Co-occurrences of concepts

On the left: The number of gene-disease-compound relationships in Alzheimer’s disease are shown. In abstracts only, there are 23 co-occurrences. With abstracts plus full text, that number increases to 117 co-occurrences.

On the right: Elsevier compared 23 million PubMed abstracts and 2.5 million full-text articles from Elsevier's biological publications. 57% of co-occurrences ­first published 2003-2012 (2.6 million) were found only in the full-text articles, not in the abstracts.

Avoiding the use of only abstracts

科学文献は、AIモデルの構築において極めて重要なデータソースの一つです。しかし、AIモデルの学習には抄録のみではなく、フルテキストの論文を活用することが重要です。抄録には研究成果のすべてが反映されているわけではありません。特に、有害事象、変異、細胞プロセスといった情報は、抄録には記載されない場合があります。さらに、データ収集が抄録のみを対象としている場合、フルテキスト論文のみに現れ、他の抄録に現れるまでに何年もかかるような共起関係を見逃してしまいます。また、データ収集の対象を抄録のみに限定すると、論文本文にのみ記載されている重要な関連性や知見を見落とす可能性があります。こうした情報の中には、その後何年も経たなければ他の論文の抄録に現れないものも少なくありません。

Over-reliance on public and open access data

公開データリポジトリに収録されたデータは、AIの学習に広く活用されています。同様に、オープンアクセスの文献やデータもモデル学習に利用することができます。これらの情報源には大きな価値がありますが、その一方で限界もあります。公開データやオープンアクセスデータのみに依存すると、それ以外の情報源に含まれる重要な情報を見落とす可能性があります。例えば、ある研究では、希少疾患を対象としたドラッグ・リポジショニングプロジェクトに関連する関係性うち、45%はアクセスが制限された情報源からしか得られないことが示されています。

A chart showing how if your data pipeline only pulls data from abstracts, you will miss co-occurrences that only appear in the full text.

Analysis of time taken for co-occurrences that appear in the body of an article to appear in the abstracts of other articles. (Source: Elsevier)

Domain expertise and knowledge from humans in the loop

科学研究には、その分野に関する専門知識が不可欠です。同様に、AIを効果的に活用するためには、研究領域に関する専門知識だけでなく、AIがビジネス上の課題解決にどのように役立つかという点についても、専門的な知見が求められます。

Identifying and defining problems that will benefit from AI

研究者が行う意思決定や予測 — 例えば、ある分子がタンパク質のどの部位に結合するかといった判断 — には、わずかな違いを正確に捉える高度な専門性が求められます。このような課題の解決には、まず分野特有の専門知識に基づいて、どのような利用場面でAIの活用が有効なのかを見極めることが重要です。

Determining required capabilities and research context

分野に関する深い知識を持つデータサイエンティストは、利用可能なデータの特性や、そこから導き出される問いの背景を理解しています。こうした専門知識により、研究開発組織は、どのようなAIアプローチが有効で、どのようなアプローチが期待した成果につながりにくいのかを、より的確に見極めることができます。(Holzinger et al.)専門的な技術知識を活用することで、実際には課題解決につながらないソリューションの開発に時間やコストを費やすリスクを回避できます。また、分野における専門家は、語彙やオントロジーの構築を通じてデータセットを構造化することで、検索時に重要な情報の見落としを防ぎ、関連性の高い結果を導き出せるようにしています。

Collaborating with researchers to access relevant datasets

特定の科学分野に精通した技術専門家は、専門特化型モデルの開発に適したデータセットの選定や調達について研究機関を支援することができます。また、化学、生物学、材料科学などの領域知識を活用し、関連性の高い情報を適切に選別しながら、データセットをAIが利用しやすい形に最適化することも可能です。加えて、データライセンス、著作権、知的財産に関する包括的な理解も重要な専門性の一つです。こうした知識は、法務・コンプライアンス上のリスクを未然に防ぐ上で欠かせません。例えば、自社が第三者のデータセットに対してテキストマイニングを行う権利を有していないにもかかわらず、その制約を十分に認識しないまま利用を進めてしまうケースも考えられます。

Potential sources of datasets to power AI projects in R&D organizations include public datasets, CROs, service providers, software vendors, academic groups, commercial data providers, regulatory authorities and more.

Potential sources of datasets to power AI projects in R&D organizations (Source: SciBiteopens in new tab/window)

Robust data structuring and rich ontologies

科学研究開発で利用される複雑なデータセットは、複数のソースから収集されるため、有用な知見の抽出や活用に先立ち、データの構造化や標準化が不可欠です。データをそのまま投入すればよいという単純なものではありません。

The power of ontologies in AI

研究開発で利用されるデータの多くは、そのままではAI活用に適した状態ではありません。データはサイロ化されており、多様な形式で保存されているうえ、メタデータも不十分なため、検索や分析、AIアプリケーションでの活用を難しくしています。オントロジーは、カテゴリとその下位分類を機械可読な形式で記述した、人によって設計・管理される知識体系です。また、概念間の意味的な関係性や同義語も定義しており、科学文献やさまざまなデータセットで同じ対象が異なる名称で表現されるケースにも対応できます。

例えばライフサイエンス分野では、同一の遺伝子がPSEN1、PSNL1、Presenilin-1といった名称で記載されることがあります。豊富なオントロジーに基づく統制語彙や標準化された用語体系は、こうした表記の揺れを統一し、データをAIモデルの構築・活用に適した形へと整えます。

Constructing domain-specific taxonomies and knowledge graphs

オントロジーが多次元的な概念間の関係性を定義するのに対し、タクソノミーは特定の領域における概念を分類・体系化するための枠組みです。タクソノミーとオントロジーは、いずれもナレッジグラフの構築に活用されます。ナレッジグラフは、エンティティとその関係性を結び付けることで、事実のネットワークを可視化する強力なデータサイエンスの手法です。領域固有の専門用語に対応できるよう設計されているため、リレーショナルデータベースによる「平面的な」検索を超えた、より高度な検索・分析を可能にします。また、ナレッジグラフと大規模言語モデル(LLM)は相互に補完し合う関係にあります。LLMはナレッジグラフの生成を支援するとともに、グラフの検索や活用のハードルを下げることで、あらゆる経験レベルのユーザーがその価値を活用できるようにします。

ナレッジグラフと研究開発における役割についての詳細は、こちらをご参照ください。

The role of data science and technology experts

オントロジーやタクソノミーを用いてデータを構造化するには、高度な専門知識が求められます。しかし、そのために必要なスキルを兼ね備えた人材を要する研究開発組織は限られており、必要な規模で活用できる技術基盤が十分に整っていないケースも少なくありません。

例えば、適切なデータセットと、その内容を理解できる化学者や生物学者が組織内にいたとしても、そうした専門家はそれぞれの研究分野のエキスパートである一方、データ構造化などのデータサイエンスに関する業務の経験は限られていることがあります。こうした場面で重要な役割を果たすのが、外部のデータサイエンティストです。特に、ドラッグ・リポジショニングや新規材料開発など、高度な専門知識が求められる領域では、AIの活用を成功へと導くためのデータの構造化において、欠かせない存在となります。また、テクノロジーの専門家と連携することで、自社のデータや知的財産を適切に保護しながら、安全な環境下で管理することができます。これにより、安全性が十分に確保されていないパブリックなプラットフォームへの意図しないデータ共有を防ぐことが可能になります。

Systems of description range from the weak semantics of a list to the strong semantics of an ontology, which is a formal description of a domain with classes, relationships and logical axioms.

Implementing taxonomies and ontologies improves data quality and usability. (Source: Copyright Clearance Center and SciBite)

Data management and enrichment

継続的なデータ管理とデータ強化は、AI活用の長期的な成功を支えるとともに、モデル構築に向けたデータのクレンジングや前処理に必要な時間とリソースの削減につながります。

Mitigating challenges around data integration

データセットには、AI活用への適合度が異なるものが存在し、その形式や構造もさまざまです。例えば、電子実験ノートに記録された実験データ、臨床研究から得られるリアルワールドデータ、科学文献のテキスト情報、機器のセンサーによる測定データ、特許データなどが挙げられます。研究開発チームには、社内外のデータを標準化・統合するためのデータ管理を業務プロセスに組み込むことが求められます。そのためには、オントロジーやタクソノミーをはじめとするデータ管理のフレームワークに投資し、データライフサイクルを確立することが重要です。

Data and semantic enrichment to enhance results

セマンティックエンリッチメントにより、研究開発組織は、公開データセットや独自データセットに含まれる構造化・非構造化データの価値を最大限に引き出すことができます。このプロセスでは、アノテーションや概念タグ、メタデータの付与を通じて、テキストを曖昧さのない、文脈が明確なデータへと変換します。例えば、セマンティックエンリッチメントソフトウェアは、テキスト中の重要な用語やパターンを自動的に抽出し、「心臓発作」と「心筋梗塞」のような同義表現を統一して扱うことができます。このアプローチにより、データ中のノイズが排除され、AIによる誤認識が減少します。

The role of custom services in data management

オントロジーやタクソノミーの構築と同様に、データセットの管理やセマンティックエンリッチメントにも、外部の専門家による支援が求められることが少なくありません。分野における専門家は、学習用データセットを作成するとともに、研究開発プロセス全体で共通言語として機能する、文脈を踏まえたカスタム語彙を構築できます。こうした語彙には、製品名など組織固有の用語に加え、各科学分野や業界、さらには規制当局で広く用いられている標準的な概念や専門用語も含めることができます。このような取り組みにより、研究開発組織は、新規データをAI活用に取り込めるだけでなく、長年にわたって蓄積されてきたレガシーデータの価値を引き出すことも可能になります。

Agentic AI: Giving AI more autonomy

2025年におけるAIの注目トピックの一つが、「Agentic AI」です。これは、ユーザーに代わって自律的に意思決定を行えるよう、より高い裁量を与えられたAIモデルopens in new tab/windowを指します。その可能性は非常に大きい一方で、組織にはAI戦略を主体的に管理し、慎重な意思決定を行うことがこれまで以上に求められます。

特にライフサイエンス分野では、Agentic AIは創薬ターゲットの特定やリード化合物の探索をはじめとする研究プロセスを大幅に効率化できる可能性があります。しかし、誤った判断がもたらす影響は極めて深刻になり得ます。そのため、Agentic AIの導入にあたっては、以下の点を考慮することが重要です。

  • 課題から始める:まず、解決すべき課題を明確にします。

  • 透明性を最優先する:なぜその判断に至ったのか、どのツールを使用したのか、どのデータを参照したのかを継続的に確認し、意思決定プロセスの透明性を確保します。

  • 必要な情報へアクセスできる環境を整える:エージェントが必要なリソースに適切にアクセスできるようにし、十分なドキュメントを整備します。

  • データ品質を重視する:AIのアウトプットの品質は、利用可能なデータの品質に大きく左右されます。

  • 科学的な意味付けを加える:言語理解能力を持つLLMに、オントロジーで体系化された科学的知識を組み合わせることで、判断結果の根拠を人が理解・説明しやすくなり、透明性の向上につながります。

  • LLMと専門家の役割を適切に見極める:エージェントにどこまで自律性を持たせるかを慎重に判断し、必要に応じて専門家による確認やレビューを組み込みます。

  • 最小単位から構築する:明確に定義されたツールや機能を組み合わせることで、多様なエージェントへと発展させることができます。

  • ガードレールを設定する:エージェントが実行できることと、実行できないことを明確に定義します。

  • ライフサイエンスの課題は技術だけでは解決できない:ソリューションの開発には、技術だけでなく、分野における専門家による継続的な関与が不可欠です。

Embracing AI research tools

エルゼビアが実施した調査では、企業の研究者の96%が、AIは知識の発見を加速し、より付加価値の高い研究やプロジェクトに注力できるようになると回答しました。研究活動にAIを活用することで、研究開発を重視する企業が日々直面する課題への対応を支援するとともに、次のような形でワークフローの最適化が期待できます。

  • 時間の短縮:AIを活用した検索や要約により、文献の調査・精査に費やす時間を削減できます。

  • 意思決定への信頼性向上:AIが導き出すインサイトと信頼できるコンテンツを組み合わせることで、研究者やイノベーターは、より確かな根拠に基づいた意思決定を行えます。

  • 生産性の向上:時間を要する文献読解業務を効率化し、研究者がイノベーション創出や重要な研究課題により多くの時間を充てられるようになります。

  • 競争力の強化:AIを活用した研究により、イノベーションをより迅速に進め、市場機会の逸失を最小限に抑えることができます。

同じ調査では、研究者の89%がAIを用いて複数の論文の要約や統合を行いたいと回答し、臨床医の94%が症状評価にAIを活用したいと回答しました。ただし、その実現には、信頼できるコンテンツを基盤とし、厳格な品質管理のもとで、責任あるAIの原則に沿って設計・運用されたAIツールであることが不可欠です。

Science Direct AI

ScienceDirect AI

Science Direct AI

Discover, innovate and develop with confidence

専門的な環境でAIが真の価値を発揮するためには、信頼性が不可欠です。そのためには、信頼できるデータ、厳格なガバナンス、そして責任あるAIの原則に基づいて設計・運用された、安心して利用できるツールが求められます。エルゼビアは、イノベーションの創出と成果の最大化を支援する幅広いソリューションを通じて、組織がこうした複雑な課題に対応できるよう支援しています。以下の要素により、研究開発における意思決定の迅速化と高度化を実現します。

  • 査読済みの科学文献や分野固有のデータなど、信頼できる高品質な情報

  • データ変換や分析・予測ツールを支える革新的なテクノロジー

  • 研究開発向けのデータソリューションを用いて複雑な問題を解決する、領域専門知識とデータサイエンスの知見

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